2020.11.13

【アンケート調査】4割の人は興味がない!?遺言書のアンケートから分かった矛盾(いい遺言の日:11月15日)

弊社運営の葬儀のデスクで40歳以上の男女を対象としたアンケートを取り、遺言に関する意識調査をしました。
その報告を行います。

11月15日はいい遺言の日

11月15日は「いい遺言の日」です。「11(いい)/15(いごん)」にちなみ、相続に関する意識を高めてもらうことを目的としてりそな銀行が2006年に提唱した記念日です。遺言書は故人の最期のメッセージとしてかけがえのない存在。残される人たちが困ることのないように残すものとされています。

そもそも「遺言(ゆいごん)」とは、自身の死後に残された人たちに残す言葉のこと。どんな言葉を残そうと、本人の自由です。思ったことをそのまま伝えても良いでしょう。この「遺言(ゆいごん)」を何らかのカタチに残したものを「遺書」と呼びます。

一般的に考えられている遺言と法律として根拠がある遺言証書の違い

一方で、「遺言(いごん)」とは法的効力があるものを指します。「遺言証書(いごんしょうしょ)」とも呼ばれ、形式に則ったもので残す必要があります。その形式が守られていない場合、法的効力を発揮できません。多くの人がイメージするのが、「遺産相続」などに関する金銭の情報ではないでしょうか。

実際に法的効力のある「遺言(いごん)」を残した遺言書を作るのは、難しいと感じている人も多いでしょう。しかし、ポイントさえ押さえていれば印鑑ひとつですぐに作成できるものでもあります。

 

実際にどれくらいの人が遺言書を必要とし、残したいと考えているのでしょうか。遺言書に関する意識調査を行い、その結果から受け取る側と残す側に矛盾があることがわかりました。

【調査結果】

  • 「遺言書を残すことを考えたことがない」人は約半数
  • 「遺言書を残したい相手はいる」が約64%
  • 「遺書に残してほしい内容」は多くの人が遺産などに関する金銭のこと
  • 約4割の人が「遺言書の相談できる人」がいない

いい遺言の日にこのアンケートをとった背景と終活という概念

日本には、古くから「言霊」という概念があります。不吉なこと、起こって欲しくないことは「口にしてはいけない」。言葉にすることで不幸になると信じられてきたのです。そのため「死」について口にすることは良くないことだとされていました。

 

しかし、近年「終活」「エンディングノート」などの言葉が浸透していることからわかるように、近年では「自身の死」や「家族の死」について生前に考え備えておくことが大切だという風潮に変わってきています。

 

特に現代は、スマホやパソコンの普及により個々の情報をオンライン上だけで管理できるので、故人しか知らないデータや財産があることがあります。また、東京一極集中などで遠方地に住む親族との関わりが薄れ、いざという時に認識の齟齬がありトラブルにつながることも。遺言書があることで、厄介ごとを避けることもできるでしょう。

 

自身の死後、周りの人が困らないよう生前に用意する「遺言書」は、実際どれくらいの人が作成しようと考えているのでしょうか。

半数が「遺言書について考えたことがない」!

「遺言書を残そうと考えたことおがある」人は半数いるにも関わらず、40歳代以上の約半数は「遺言書について考えたことが全くない」と回答。自分の死について考え事生前に備えるという風潮が広がっている中でも、世の中の多くの人が「自分にはまだ関係ない」と認識しているようです。

 

 

考えたことがないのに「遺言書を残したい相手」はいる?!

遺言書を残そうと考えたことがない人は半数であるのに対し、「遺言書を残したい相手が1人以上いる」と回答した人は、約64%と過半数以上でした。つまり、残したい相手はいるが具体的にはまだなにも考えていないという矛盾が発生しています。

 

 

いい遺言とは?「手続き上必要な情報」が書かれているもの?

遺言書に書いて欲しい内容の1位は「遺産や保険などの手続き上必要な情報」で、次いで2位が「遺産相続の割り振りなど」でした。多くの人が金銭に関する心配や不安を抱えているようです。

日本では、「そんなにいらんはないから問題ない」と認識している人も多いようですが、実は遺産が少額でもトラブルは起きています。

 

その上、近年のIT化で“紙に残らない”デジタル遺産も増えており、デジタル遺産の中にはプラスだけでなく定額課金サービス等のマイナス遺産もあります。亡くなった後に特に分かりにくいという現代特有の問題から「遺言書には金銭のことを書いてほしい」と願う子供世代が増えているのでしょう。

 

ここまでの結果から、「遺言書を大切な人のために残したい」「金銭などの手続き上必要な情報を残してほしい」という思いがあることがわかりました。しかし、実際に遺言書を残そうと考えたことがある人は半数しかいないのが現状です。

なぜこのようなギャップが生まれているのでしょうか。

 

 

遺言書づくりの「相談相手いない」が41.7%

遺言書について「相談できる人がいない」という回答は全体の41.7%を占めています。誰に相談をしてよいかわからず不安に思っているため、実際に遺言書作成まで至っていないのかもしれません。

遺言書は自分の死後に大切な家族が困ることのないよう準備するものです。そして死後は自らフォローすることも内容を変えることもできないのです。昨今ではインターネットで簡単に情報を入手することができるようになりましたが、真偽のわからない情報だけではなく、信頼できる人・情報がほしいという心情のあらわれでしょう。

 

 

いい遺言の日 調査結果まとめ

遺言書は「残す人」と「残される人」で若干の認識違いがあったり、あった方がよいのに準備していなかったり、他人事として捉えられているのが実情のようです。

 

遺言書自体は語源として「故人(被相続者)の最終意思を遺産処分に反映するもの」という意味があります。任意の規定が多い相続規定の中で、自身の死後、大切な人たちが困ることのないようにサポートするものです。大半が「明確な金銭に関する情報を残してほしい」と回答したのは、故人亡き後も今までと同様の生活を送り故人を安心させたいという思いもあるでしょう。

 

遺言書は一度作成したら終わりではなく取り巻く環境や気持ちに変化あれば、節目で都度見直すものです。

 

また、番外編ですが「友人や職場の人に遺言書を残したい」と回答した人が9%ほどいました。遺言書は、先述した通り「遺言事項」にある内容で、形式に則ったものでないと法的効力は認められません。しかし、本来「遺言(ゆいごん)」とは、故人の最期の言葉です。遺言書は遺族のためだけでなく、故人の思いや感謝の気持ちを表す生きた証であるといえます。

他人事だと捉えずに、簡単なエンディングノートを作成し自分の意思を可視化してみることから始めのもよいでしょう。

出典:遺言書に関する意識調査を実施  4割の人は興味がない!?遺言書のアンケートから分かった矛盾
https://www.atpress.ne.jp/news/234777